7/9(水)100点満点の答え。【夫】

3日目。今日は会社に出社。早退、有休、出社、有休、有休、週末。
今週は最初で最後の通常出勤だ。


会社に向かう車に乗りんだとたん、ガクッとシフトチェンジをしたような錯覚が起きた。
まさにシフトが替わったのだろう。
「妻を支える夫」から「一人の男」に戻ったのだと思う。
無気力、倦怠感。
重い。
何度か「つらい」と呟いた。
初日の帰宅前に「妻を支える」と切り替える前の気持ちに利子をつけて返されたようだ。



出社後、社長と話した。
現状報告と明日からも入院、手術で休みをいただくこと。
昨夜妻と語り合ったこと。
「失ったものを嘆くより、今あるものに感謝する。」
「悟りのクイズ」で得た最高の答えを、抗がん剤治療中の奥さんを支える社長にも伝えておきたかった。


社員には「自身の体調不良」としていたが、本当は妻の病気のために休み、その場しのぎで嘘をついたことを謝罪した。
また明日からも入院、手術で休みをいただくが、命に係わるような病気ではないと伝えた。
きっとどんな病気なのかと気になったと思うが、「聞いてくれるな」という雰囲気を含んで話したおかげで、「結界」を作ることに成功した。


帰りの車中は、見事に初日の再現。
気づけば「なにがいけなかったんだろう」「どうしてこうなったんだろう」と考える。
その度、「理由なんてないっていったじゃん」と繰り返す。
昨日はなちゃんに偉そうにもの言ってた自分が嘘みたいに思える。


夜、はなちゃんが「決めた」と、少しすっきりした表情で話してきた。
「やっぱり、赤ちゃんに会う。
でも、助産師の加藤さんに言って、やめときなさいと言われたら素直に従う。」


私は、絶対、絶対に会うべきだと確信していた。
でも、これは妻の「心の問題」だった。
「会いたい」と言ってくれることを信じて待っていた。
だから本当に嬉しかった。
「クララが立った」そんな気持ち。
だから、伝えた。
「100点満点の答え。さすが俺の妻だ。」

でも、仮に「会わない」と言っていても、最後は無理やりにでも会わせるつもりだったけどね。
俺は一貫している。
君の心が大切なんだ。